【21話】
■展開のこと
▼朱ちゃん
冷淡な彼女にはじめてヒヤッとしました。
緊張感に溢れた通話シーンでしたが、図らずも「追いかけっこ」状態となった狡朱は、
新人監視官の期待以上の言動に、憧れの先輩を守れる切札を手に入れ今にも届きそうな状況に、
お互い、心の何処かで歓喜してしまっている部分もあるんじゃないかなあ。
後のことは分からない、とりあえず今は狡噛さんを生かすことに集中する、という朱ちゃんは、
友人を殺した槙島のことよりも狡噛さんへの思いの方が格段に上なのですね。愛って偉大です。
▼朱-槙-狡
槙島が死ぬか生きるかで大きく展開が変わりますよね…
朱ちゃんの切札を察した槙島が、面白がって自殺するという道もあるのかなあ…狡噛さんを道連れ…いや、人生を楽しむ槙島が自殺はないか…でも、楽しめれば別に死んでもいいというスタンスではあるな…。
槙島はシビュラの正体も、シビュラが自分を欲しがっていることも知っているし、朱ちゃんが望む結果を読めるだろうと思います。
そこで狡噛さんもシビュラの正体を知るのかな。知ったらそれはそれで殺されるよな。うあああ。
狡噛さんを殺したら槙島を殺すとシビュラを脅した朱ちゃんでしたが、その場合は槙島をどうやって殺すんでしょう…丸腰ですけど…。
ドミネーターをパラライザーで固定してるなら槙島も撃てるってことですか…?朱ちゃん最強伝説だなこれ。
パラライザーに撃たれて気絶した槙島を、狡噛さんが殺そうとして、朱ちゃんが槙島を庇って撃たれ………いやいやいや。
とりあえず、狡噛さんが槙島に手錠をかけるシーンが見たいです私は…!
局長出てくるんでしょうか…シビュラ根絶までいって欲しいですけど、時間的に見ても無理でしょうね…うう。
槙島が内側からシビュラを破壊するっていうのだったら最後の最後で彼のことを好きになれそうです…今とっても槙島が憎いので…あいつめ…。
ところでドミネーターと話す朱ちゃんの画はなかなかシュールです。
▼弥生ちゃん
どれくらいの頃まで常守さんのことを「お嬢ちゃん」だと思ってたんだろう…
印象を完全に塗り替えたのはメモリースクープあたりでしょうか…
朱ちゃんが初めて弥生ちゃんに指示を出したのって、地下鉄があったか調べて貰ったときですかね。
狡噛さん曰く「本能的に刑事の本質を理解している」朱ちゃんでしたが、
彼女の中に息衝いていた刑事としての素質(機転を利かせること)が目に見えはじめたのはこのゆきちゃんの回からだったか…。
今の朱ちゃんは狡噛に似ていると言った征陸さん、突っ走りすぎた監視官の狡噛さんも、こんな感じで、刑事としての腕を発揮し始めたのかなあと…なんという皮肉…人の精神を踏み躙ったそこから多くの人の「動機」を生み出している槙島…
それを思うと確かに「魂の輝き」というものを彼は掘り出しているのかもしれません…けどそれただの殺人犯ですからね…。
弥生ちゃん、「命を預けられる」と言いましたが、
(「買い被りすぎですよ」って苦笑した朱ちゃんにはほっとしました。朱ちゃんの笑顔もっとください)
宜野座監視官にはそんな言葉を掛けたことがあるのかなあ。
(監視官時代の狡噛さんには、わざわざそんなこと言わない気がします…贔屓目なしにしても頼りがいあるしな…!)
宜野座と弥生ちゃんにはほんのり絆を感じているんですが…弥生ちゃんの方が、何もせず何も言わず宜野座の傍にただ着いている感じがあるというか。
「日頃の行いじゃないですか」とか言われて言い返さない宜野座とか、
猫掴みされて投げられた宜野座の姿を見ても動じない弥生ちゃんとか、
二人でいるの、心地良さそうです。
ところで、弥生ちゃんだけ自家発電室的な所に残ったまま、朱-槙-狡の場面を迎えそうになってますけど、最終的に彼女のポジションはどうなるんだろう。
とりあえず、志恩さんとの遣り取りはありますよね。
建物崩れはじめて生存者を助けるために出口を遠隔から確保して自分は生き埋めとかいうハリウッド映画のような流れとかかい…
「命を預けられる」って、死の予感も引き出す台詞だったので…、無事を祈ります。
そういえば一係の執行官で生きてるの、弥生ちゃんだけじゃない…
■親子のこと
死の展開には免疫あると思っていましたが、直接精神を強打されました。
衝撃を引き摺ってか視聴後の翌朝壁面に激突しちゃったけど私はだいじょうぶです(私生活に支障をきたしている)(そしたら数日間仕事にならんかったという方が案外いらっしゃるようで)(ですよね、ですよね、)
親子の負傷に比べたらこんなもの……ううっ…まさおかさ…のぶちか……
そういやギノはもともと「征陸伸元」って名前なんだな………
これからは宜野座と名乗れと言われた伸元少年…
父親を憎むというより深層ではシビュラを憎んでいるんじゃないのかい…
不意をついてくるばかりのストーリー(狡噛さんが逃亡したり、朱ちゃんがかなり強かだったり、宜野座の犯罪係数が上昇したり、縢くんが局長に殺されたり)に組み込まれた、王道と言える親子の展開は、返ってとても引き立ちます。
加えて、「親子」から生まれる愛情というのは、普遍的なテーマなんだなあと再確認しました。
息子が、父親を、守るような残酷なことにならなくてよかった…。
「父は大きい、強い」というのが揺るがなくてよかった。
そこは、救いだったと思います。
以下伸元呼びでいきます
▼「コンビ」
親子でバディ組むのは最初で最後だったのでしょうか。
過去に機会があったとしても、今のような踏み入った会話をすることはなかっただろうな。
伸元は狡噛になにか劣等感のようなものを抱いてるのかと、
特に初期の頃は、視線や台詞の端々で感じられたことがありましたが、
今回の、「狡噛ばかりで俺には期待していない」という台詞で、
コンプレックスとも言えそうなほどの狡噛さんへの感情の起因はここにあるのか、と思いました。
その秀才っぷりで先輩方には妬まれていた狡噛監視官でしたが(@ゼロ)
だからと言って、伸元は嫉妬とか逆恨みというものは持ってなさそう。相棒だもの…
落胆とか拗ねてるとかに近い劣等感、その根本は「父親に認められたい」欲求だったのか…
実際、執行官である父親の上司となった宜野座監視官ですが、そんなもので埋められるものなんてありませんよね。
父親に認められたいだなんて言葉にすると「鉄板感」がありますが、これもまた永遠のテーマだと思います。
この親子が引き裂かれたのが、シビュラシステムの導入という所は、新しい視点ですけども。
サイコパスは近未来の設定だけど人間模様には昭和を匂わせたい、ってラジオのプレ配信で説明されてたのを思い出しました。
征陸さんが狡噛の逃亡の手助けをしたことへの本意は、
危険因子の排除に狡噛さんを利用した(任せた)というのも事実の一つなのでしょうけど、
狡噛は執行官でお前は監視官だからと、保身に徹しろと、今までの扱いに後悔はないという、
そっちの方が、父親から息子に伝えたいずっとずっと重くて大切な気持だったはずです。
立場もあって、こういう遠回りな愛情表現ばかりしてきたんでしょうね。
伸元の不器用さは、間違いなく父親譲りですね。
危険に曝されたのが息子ではなく朱ちゃんや弥生ちゃんや狡噛さんだったとしたら、
征陸さんは槙島を捕らえる方を優先していたような気がします。
▼トラップ
この親子の確執が解消され始めたのは、
主治医に父親への相談を勧められたのが切っ掛けだったのを思うと、本当につい最近のことなんですね。
短い時間だったと切なくなります。
事件を乗り越えた先の、親子の関係をまだまだ見ていたかったです。
あの原始的なトラップに引っ掛からなかったら。
狡噛さんがもっと早く着いていたら。
槙島が免罪体質者じゃなかったら。
シビュラがこんなに大きくならなかったら。
後悔を生んだ結果について、もしもの話を考え出したらキリがないですが、
実質手をかけた槙島が、自分でも驚くほどに、 いま、 に く い で す ・・・ !
体術では明らかに征陸さんが上回っていたし、ほとんど勝算があったのに…
槙島は飛び抜けて頭がいいんだな、と認めざるをえません。策士。狡賢い。
槙島は公安局メンバーの情報を得たとき、征陸さんに息子がいることを「弱み」だと頭に入れていたんだろうなと…想像するだけで腹立たしいです…ううう
(ゆきちゃんを餌に朱ちゃんを、朱ちゃんを餌に狡噛さんを誘き出したあたりで、少なくとも一係メンバーのことは頭に入れてるはずです…)
征陸さんに、刑事としての自分をとるか、父親としての自分をとるかという二択を迫った槙島が憎くて仕方がないです。
親子の肖像としても過言ではないあれは、歴とした、純粋な、生身の人間の、魂の輝きだっただろう槙島……!!!
それとも彼は征陸さんの選択を愚行だと嗤うのでしょうか…
あ~~~憎い~~~まきしま~~~
▼「血の褒賞」
今回のサブタイ、血って、血縁の意味かな…息子を守った父親への褒賞ですね。
サイコパスは、本編を見るまで予告も公式サイトのあらすじも監督の事前ツイートも見ないことにしているのですが、
21話のストーリーページ、征陸さん死ぬって明らかにしちゃってるじゃないですか…見てなくてよかった…
それにしても有本さんが感情の篭ったコメントをしていらっしゃいますね。泣ける。何度も読んでます。
「褒賞」と名付けられたのだし、征陸さんの最期は幸せだったと取れるのかもしれないけれど、こんなこと容易に言えない、という気持ちでいたのですが、
有本さんが、幸せだと断言されているのを見て、
ああ、征陸さんは幸せだったと思っていいんだな、と素直に思えました。
<征陸は息子に恨まれていることは充分承知している反面、監視官になれるほどの頭脳の持ち主ならば、他の職業も選ぶことができた、にもかかわらず、父親である自分と顔を合わせる機会の最も多い職に就いた、伸元の気持をよく理解していたはずです。征陸はある意味幸せな死を迎えたと思います。>
「ある意味」とついてはいるけれど、有本さんご本人は幸せだと受け取られているんだろうなあというのが伝わってくるコメントです、じわり。
▼目元が似ている親子
縢くんの終末はデコンポーザーの光線で見えなかったから、
生きてるんじゃないかって望みを持つ猶予があったし、後々殺されたことが確定しても静かな気持ちでいられたんですが…。
(デコンポーザーでやられたグソンの、血液が沸き立って肉体が爆発したように、縢くんも死んだのだと思うと、やっぱりかなしいですけども、あくまでも自分の頭の中での想像になるのでね…)
征陸さんは、命が絶えていくのをありのままに見せられてしまって、ああ死んだんだな、という実感がそれはもう強烈でした。
画や声を通して、親しんだ登場人物が死んでいくのを見るのは…やられますねこれは。
そう、声が特に。息子の元へ走る父親の叫びが一番脳裏に焼き付いてます。
満身創痍な姿や台詞の意味以上に、あの声ばかりが自分の中でリフレインされています。
征陸さんの声が有本さんで本当によかったです。あの、走る時の声は、ほんとに、泣けて泣けて仕方がないです。
…デコンポーザーなら即死だったでしょうけど、ダイナマイト(まきしま…まきしまめ…)の爆破だったから
ほんのひととき、息子と会話が出来た征陸さんでした。笑ってました。目元がそっくりだって。
伊達眼鏡、似てる目元を隠していたのかな。
必死に執行官を犬扱いしてきた監視官が、「刑事だろ」と言ったことで、「親父」と言ったことで、もう充分です。
息子は、刑事であることも父親であることも、認めてくれてたんです、征陸さん…
▼親子とも失った左腕
伸元は義手になればいいなあと思います。生きていてほしいという意味で。
伸元は、一瞬で、父を失ったし、腕を失ったし、もう、彼から何も取り上げないで欲しい…なので死なないだろうと思う…ことにする。
狡噛さんを見上げた時のあの歪んだ顔…取り残されたような自分の非力さを思い知らされたような父親のまっすぐな愛情にどうすればいいのかわからないような、救いを求めるような表情でした。
愛されてたんだよ伸元…素直になれないままでもいいから、頼むから、父親が守った命を、守り抜いて下さい宜野座監視官…どうか取り乱さないでくれよ…
彼のサイコパスは無事なんだろうか…無事じゃないよな…
潜在犯堕ちしたとしても執行官には向いてなさそうですけど、
刑事で居続けた父親を胸に意地でも刑事という仕事にしがみつこうとするだろうか…意地か…
それよりも、この一件が終わったら、もう、監視官だの執行官だの潜在犯だの、廃止になってほしいです。
無題
田中さんへ