【20話について】
毎度背景美術の緻密さが息を呑むほどの美しさですね…
残り2話分も監督のお墨付きの出来らしいので、また楽しみです。
そして作画も細やかでしたね…朱ちゃんちょうびじんだった…キャラクターの睨み顔ってなんであんなに惹かれるものがあるんだろう。
歯を食いしばったり、目を細めたり、眉間に皺を刻んだり、そういう表情が好きなんです。
リアルでそんな顔されたらひたすら逃げ腰になるけど。
▼シビュラシステム
自システムの合理性を淡々と語るシビュラ…きもちがわるいです…。
免罪体質者って、結局、「悪」を実行した人に対してのみしか測れない、のでしょうか…?
そういえば「罪」を「免ずる(ゆるす)」体質なのだから、罪を犯したこと前提の分類なのでしょうか。
この場合「罪」というのは恨み辛みのことでなくて、「犯罪」のことのみを指すのだとすると、
「犯罪を犯してもなお測定できないサイコパスの持ち主」というのが免罪体質者で、
朱ちゃんは「犯罪」を犯していないから、免罪体質かどうかは判定できない、
例えば「朱ちゃんが悪事を働いた場合でも犯罪係数は上昇しなかった」ということでしか、
免罪体質者かどうかというのは判らないのかな、と思いました。
友人を殺されて傷心はすれど、それと犯罪係数は実質無関係ということならば、
「サイコパスと心は別もの」と言った志恩さんの言葉も分かりますね…。
犯罪者の心理を理解しようとして、かつての刑事の多くが潜在犯判定されたというなら、
「犯罪係数」というのは、「殺意」に比例するものなのかな…。
いや、なんらかのストレスを受けても犯罪係数は上下するのか…。
◆ストレスを受ける
↓
・犯罪係数上昇→セラピーを受ければ更生の余地あり
・犯罪係数変動無し→メンタル美人だね、と言われる
◆他人に殺意を持つ(あるいは殺意を持つ者の心理に近づく)
↓
・犯罪係数上昇→潜在犯認定:施設送り or 執行官へ
・犯罪係数変動無し→とてもメンタル美人だね、と言われる
◆他人を実際に殺す
↓
・犯罪係数上昇→犯罪者として執行対象
・犯罪係数変動無し→免罪体質者認定:シビュラシステムへ
「そもそもこの社会における犯罪というものはなんだ」というようなことを狡噛さんが言っていましたが、その台詞が今になって、なんだか、じわっと。
しかしそれならほんとに悪者の集まりになるぞシビュラ…なにが合理性だシビュラ…
「正当性より必要性」とか言っちゃうところ、シビュラ自身も正しい行いをしているわけではない自覚はあるんですね。
正しいばかりが正しいとは限らないけども、機密漏洩を防ぐために縢くん殺すとか…せめて…監禁…(そういう問題ではなく
「人の生き死にに関わる問題なら自分の命を懸けて当然」というようなことを
3話で狡噛さんが朱ちゃんに伝えてたじゃないですか…もう…なのにシビュラってやつは…もう…
そして現状命懸けで槙島を追う狡噛さんですよ…もう…愛おしいこのひと…
▼
とりあえず、朱ちゃんがシビュラの正体を教えられた理由は、
・槙島のように知性を備えた免罪体質者は貴重
・槙島の脳を取り込めばシビュラは完全に近づく
・シビュラは槙島がほしい
↓
・槙島を捕まえるも逃走される
・槙島を殺そうとしている狡噛の存在が邪魔なため隔離
・しかし狡噛が逃亡、やっぱり槙島を殺そうとしている
・セキュリティ復活までの5日間でなにがなんでも狡噛は槙島を殺そうとするだろう
・優秀な狡噛はやり遂げかねない
↓
・槙島が殺される!時間がない!ピンチ!監視官を使うほかない!
・懐疑に塗れた宜野座はもう駄目だから新しい手駒を用意ターゲット常守朱
・この子ならシビュラの必要性を分かっているし危ない賭けだけど手の内を見せよう
・どうしても槙島の脳がほしいんだよ!生け捕りにしてよ!
ということですか。
▼朱ちゃん
シビュラに条件突き付けましたね…!
槙島を生け捕りに出来たら狡噛さんは無事!
朱ちゃんのやるべきこと、目標ができた瞬間でした。
朱ちゃんにとって、一番いい結末がこれだと明らかに。
この条件通りに任務を遂行出来たなら(できたらいいのに)(「それでも必ず帰って来る」がほんとうになればいいのに)槙島はどうなるんでしょうね…裁かれることはやっぱりないのだろうか…。
しかし話数を考えると、この筋書きはちょっと無理そうですよね…。
◆3人の目的まとめ
・朱ちゃん「槙島逮捕/狡噛確保」
・狡噛さん「槙島ころす」
・まきしま「人の魂の輝きが見たい!」
▼
「宜野座さんが消耗…」という台詞が印象的でした。宜野座の現状を知る朱ちゃん…。
「消耗」って、普通に使いますけど、シビュラの台詞となれば宜野座がシビュラにとっての消耗品だったように聞こえて来るから悲惨です。
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朱ちゃんの自身との対話シーン(ゆきちゃんとか縢くんとか槙島とか)(この中に狡噛さんは居ないんだなあ)は、結構ストレートに ああなんじゃないかこうなんじゃないか っていうのが述べられましたね。
新人としてこの世界の説明を受けるという意味で、視聴者にとって一番近しい存在だった朱ちゃんは、
それだけじゃなくて、たくさんの選択肢が与えられそれで悩んでいる現代人(=視聴者)の象徴だったのかしらと…リアルと繋がった感触がありました…不思議な感覚になりました。
無事だったなら、縢くんと朱ちゃんは、ほんとうに、もっともっともっといい友達になってたと思う。
あと、強気な朱ちゃんのあの雰囲気は、ヤクザだの不良だの悪党だのに好まれるような気がします。
シビュラの中に居る悪人共も「いかすぜ常守朱」「痺れる〜」「女はこうでなくっちゃ」とか思ってるに違いない。
朱様の御声に屈しろシビュラ。
▼宜野座視点の狡噛と朱
宜 野 座 が 、 推 理 し て い く 朱 ち ゃ ん に 狡 噛 さ ん の 姿 を 見 る シ ー ン … ! ! ! !
こういう表現してこないのは制作者側の好き嫌いの問題かと思ってましたが
この! 終盤において! 大好物ですこういった描写は…!!
朱ちゃんも狡噛のように闇堕ちするんじゃないかと危ぶんでいた宜野座が
別の部分で、刑事という部分で、狡噛さんと朱ちゃんを重ねるという…これ…とにかく興奮した…
闇堕ちの懸念というマイナス面ではなく、推理シーンというプラス面で二人を重ねて見た宜野座、
ここにきて彼をより好きになりました……(よほど琴線に触れたらしいです
闇堕ちの懸念というマイナス面の部分でも、
「狡噛を見ているようだ」という今回のような視覚的に重なる描写が、
これまでもやろうと思えば出来たはずじゃないですか。
これまでの回でその描写をしなかったのが物凄く効いてますよね…!
なんですか、脚本の指示? 監督の指示? 絵コンテの指示? 演出の指示? すごいですよね、ちょっと、これ、異常に感動している……
それと同時に闇堕ちを懸念される状態の時の狡噛さんと朱ちゃんはまったく違う様子だったのかもしれない、とも思わされます。
19話でも朱ちゃんって、宜野座の前で淡々と槙島の思考を読んでいたと思うのですが、
狡噛さんと重ねるのはそこでもなく、今回のあの完璧な推理シーン…
そこで初めて朱ちゃんと狡噛さんが視覚的に重ねられたことで、狡噛さんの「優秀さ」の認識レベルも上がりますよね…
ほんと、すごい、このシーン…すごい…。
そして「宜野座にとって拠り所だった狡噛さんの位置に今いるのは朱ちゃん」的な構図が形になった感じがしてうれしかったです…ふふ…
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こういった登場人物達の相関図…影響を受け合う人間関係の描き方が、このアニメの最も好きなところです。
SFではなくハードボイルドな刑事もの、という意識で制作されているとのことですが、
ヒューマンドラマ…サスペンス…社会派ドラマ…本当に山ほど盛り込まれてますよね…!
だめだすごい全22話とか勿体ないもっと延ばすべき…制作者側は語りたいこともっとたくさんあるはずですよ…
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宜野座は父親との確執が解消されて色相濁り出した辺りからほんと本筋の展開を支えてるよね…
それまではサイドの方で親子問題相棒問題に懊悩している人だった感じですが、
それも終盤に向けて収束されて、
宜野座の存在によってこそ語られる朱ちゃんや狡噛さんが在る、
それを示すことの出来る必要不可欠なキャラクターとなるわけですね…
▼狡朱
「元執行官の狡噛だ」って、すごくせつない台詞だった…
わたし、回を追うごとに狡噛さんのこと好きになってるんですけど…うう…すきだ…
この音声データって、朱ちゃんが見つけ出してくれるんじゃないかって思いながら残したんだろうな…
もう…ほんと狡朱だな…離れ離れになってより狡朱だなさいこぱす…!!!
朱ちゃん、あんなに成長できたのなら(シビュラと話して目標が定まったから迷いがなくなって力を発揮するに至ったんでしょうね…)、雑賀先生の出番はありませんね。
朱ちゃんは自らの力で狡噛さんに追いつこうとしてるのですね。
朱ちゃんが入局したての頃に征陸さんが、狡噛さんと朱ちゃんには妙な因縁があるな的なことを言ってましたが、
これまでじわじわと築かれてきた狡噛さんと朱ちゃんの関係を思い返せる今、
その台詞がかなり活きて来ると思います…